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ドクターコラム 一覧

冷え性、ほてり、のぼせ

西洋医学と漢方医学の考え方の違い

現代医学では冷え性を病気とは認識しておらず、冷え性の要因となる貧血、甲状腺機能低下症などのホルモン異常症、低血圧、自律神経失調症、膠原病などの原因がなければ、せいぜい局所の血行不良ととらえて、血行促進のためにビタミン剤などの投与をするしか治療法を持たないのが実情です。

また、「ほてり」や「のぼせ」も降圧剤の副作用、糖尿病、更年期障害、胃切除後のダンピング症候群などが西洋医学的には原因として挙げられますが、更年期障害のホットフラシュに対してホルモン補充療法を行うぐらいで、特に原因がはっきりしない場合は有効な手段を持たないのが実情です。

一方、漢方医学では「冷え性」や「ほてり」「のぼせ」は病的な状態と考え、「冷え」や「ほてり」「のぼせ」をきたしている個人の状態を、気・血・水(き・けつ・すい)や陰陽虚実(いんようきょじつ)の観点からとらえようとします。

また、その様な状態をきたしている原因の中に、体を冷やす飲食物を摂取していないか、自然に反した環境の中で生活していないかといったことまでを考慮に入れます。

「冷え症」「ほてり」「のぼせ」は漢方医学が比較的得意とする分野ですが、この様な症状を呈する患者さんが、まだどこの医療機関にもかかっていない場合には、医療機関で診察を受け、上述した西洋医学的な原因を除外してから漢方医学的な治療に取り組んだ方がよいでしょう。

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生薬には体を温めたり冷やしたりする作用を示すものが多く、漢方治療を行う時にはどちらの生薬を用いた方がよいのかを見極める必要があります。

例えば、冷たい水などを摂取すると下痢をしやすい人では、消化管の冷えが冷え性の根本原因の一つと考えます。

また、寒気にさらされると、薄い鼻水が出たり、四肢が冷える場合にもそれぞれの原因を考えて処方を決定していきます。

さらに、漢方医学では気・血・水の循環がスムーズな場合には病気になりにくく、この流れが滞ると体の様々な場所が冷えたりほってったりすると考えるため、気・血・水の状態についても考慮しながら治療します。

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現代では、科学技術の発達で昔ならば夏にしかとれない野菜や果物が冬などの季節外にも食卓を飾るようになりました。

しかし、本来夏に収穫される野菜や果物は、体が暑さで熱をもつ夏に体を冷やす作用があり、これらを寒い時期に摂取して体を冷やすのは、わざわざ冷え性を作っているようなものです。

また、現代では安易に冷暖房に頼りすぎており、暑い夏でも屋内では過度の冷房が効いていて、体が「冷え」に傾きやすい環境になっています。自然本来の環境や食事に近づける工夫も、「冷え性」や「のぼせ」「ほてり」の改善には大切なことの一つと言えるでしょう。

(2018/3/8)




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