麻疹(はしか)が再流行
最近、麻疹が再流行しだしたとニュースになっていますね。
もちろん予防の基本はワクチンなのですが、麻疹は実はあなどれない病気なのです。
麻疹はもちろんのこと、これから気温が上昇すると、蚊が媒介する病気やダニが媒介する病気にも、発疹の出る疾患があります。
これらは、西洋医学では根本的治療法がないものがほとんどですが、漢方には「升麻葛根湯」という素晴らしい処方があります。
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升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)
「升麻葛根湯」は中国の宋の時代にまとめられた「和剤局方(わざいきょくほう)」という古典が原点の処方薬です。
昔の著書ですから、当然、難解な漢文で書かれていますので、その内容を意訳してみます。
「疫病が流行っている時、風邪のひき始めで、頭痛がして、少しの寒さも身体にこたえ、温かいものを欲しがり、身体のあちらこちらの疼痛があり、悪寒発熱がある。鼻が乾くような感じがあり、眠いのにつらくて眠れない。
合わせて、周りの人たちが次々と発病してゆく中で、自分も寒いのか温かいのかわからず、服を薄着にしてしまい、発疹(ほっしん)が出始めようとするまさにその時に用いるべきである」
と書かれています。
そして、この「升麻葛根湯」は、発疹性発熱疾患であれば麻疹(はしか)、風疹、水痘(みずぼうそう)、痘瘡(今は撲滅したとされる天然痘)、しょうこう熱などに応用ができるのです。
「升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)」のすごいところは、風邪のひき始めによく用いる葛根湯に「升麻(しょうま)」という生薬を加えたことです。
昔の人の知恵はすごい
ショウマは信州地方で山菜としてよく食べられているキンポウゲ科のサラシナショウマの根茎を生薬として用いています。
昔の人は升麻と葛根を足すことで発疹を出尽くさせる効果があることを、経験上知っていたものと考えられます。(昔の人の知恵ってすごいですねー!)
西洋医学では根本的治療法がなく、サポーティブケアという対処療法と経過観察法しかないのですが、漢方にはこんなに素晴らしい処方が眠っているのです。
サポーティブケアの最中に、一度だけでも升麻葛根湯で治療をしたらいいのにと思うのは考えすぎでしょうか。
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